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diary

西岡選手の活躍に思う

 今年はロッテの西岡剛選手の充実ぶりが際立っています。首位打者を争う好調な打撃、そして主将としてチームを引っ張る姿は、心身ともにどこか不安定だった昨季までとは別人のようですね。
 私は今春の石垣島キャンプで西岡の黒くなった髪を見て、今季の活躍を予感しました。凡打でも一塁まで全力疾走しています。こういう姿勢は必ず、結果に表れるものです。打席では優勝した2005年のような粘りやいやらしさが戻ってきました。もともと高い技術を持っていましたが、気分屋でむらっ気がありました。そんな面影は完全に消え、ようやく大人の選手になった感じがします。
 西岡選手の転機は昨春のWBCで日本代表から落選したことだったと思います。国際大会での実績を考えると当然選ばれると思っていたでしょうが、われわれ首脳陣の評価はその精神的なものから決して高くなかったのです。
 本人のショックと悔しさは相当なものだったと聞きました。それを昨年のシーズンで爆発させようとしたのでしょうが、そう甘くはありませんでした。苦しんで自分を見つめ直す時間が長かった分、今季に懸ける思いは強くなっていったのでしょうね。
 ロッテは快進撃の象徴だった新人の荻野貴司選手を筆頭に、故障者が続出しました。それでも上位で踏ん張っている陰には西岡の成長があると私は見ています。もし今、日本代表の選考にあって私が関われるなら、真っ先に名前を挙げたい選手になりましたね。

diary2010/07/15

複雑な辞任劇

 少し前の話ですが、ヤクルトの高田繁監督がシーズン途中で辞任しました。3年契約の最終年で迎えた今シーズン、チームの低迷の責任を取る形でした。私はこれに潔さを感じつつも、どこか釈然としない複雑な感情を抱きました。
 まず、どんなことがあっても、最後まで指揮を執ってほしかったという思いがあるからです。下位に低迷するチームは、誰が監督でも立て直しは困難なものです。自ら尻ぬぐいをするのが指揮官の務めでもあると思います。
 ヤクルト球団は最後まで高田監督に指揮を任せたいとしていました。ポストシーズン進出の望みが薄くなり、来季の続投が絶望的になったから辞めたとの見方があっても仕方ないかもしれません。
 一方、高田監督もこれらのことは重々、分かっていたはずです。にもかかわらず、途中でユニホームを脱ぐのはよほどの事情があったと思われます。詳細は外部からでは分かりませんが、球団は例えば、外国人選手の補強で後手に回った観がありましたね。伊勢孝夫さんを打撃アドバイザーに招いた策もどこか付け焼き刃に見えましたから。低迷の責任を監督一人に押しつけることはできないと思います。
 高田監督を招聘した3年前、少なくとも今よりは現場と球団が同じ方向を向いていたと思います。外部からの血でチームを何とか立て直したいと。それが契約最終年という微妙なシーズンになると、こんなふうにずれが出てくるのでしょうか。もう少し違った結論はなかったのかと、私は思わずにはいられませんでした。

diary2010/07/08

カーブだけではない岸投手

 西武の岸孝之投手が今季は投球の幅を広げた姿を見せています。私はその陰に、昨季まであまり投げていなかった右打者へのチェンジアップがあると思っています。
 岸投手は私が西武で監督を務めた最後の年にプロ入りし、当時はスライダーが最大の武器でした。チェンジアップも放っていましたが、対左打者に限定していました。当時からカーブはいいものを持っていて、使うように勧めていましたが、なかなか使う勇気を持てませんでした。それが2年目の日本シリーズで巨人相手に自信を付けて完全に自分のものとし、今では彼の代名詞にもなっています。
 もちろん、今季もカーブは威力を発揮しています。しかし、それ以上に右打者に対するチェンジアップの精度の高さが際立っていますね。打者有利のカウントでこれを決めることによって、自らの投球を楽にしていることも多いです。
 日本球界で右腕のチェンジアップはシュート回転して打者に当たりやすいため、使うのは左打者にかたより、代わりに右打者にはフォークボールを使う傾向にあります。左腕でも左打者にこの球種を投げるのは杉内俊哉投手(ソフトバンク)内海哲也投手(巨人)らに限られるほど制球が難しいのです。
 チームメートで同じ右腕の涌井秀章投手も、岸投手のようにはチェンジアップを使いこなせていません。いかに岸のチェンジアップが希少価値かが分かるというものです。岸と言えばカーブ、と思っていると特に右打者は痛い目に遭うのではないでしょうか。

diary2010/06/30

パの強さの裏側

 交流戦はパ・リーグが6位まで独占し、セ・リーグを圧倒しました。2連戦で日程にゆとりがあって、絶対的なエースを確立できているパ・リーグの強みは確かにあります。しかし、それだけではないと感じました。その一つに先発投手の打撃の良さが挙げられると思います。
 涌井秀章投手(西武)やダルビッシュ有投手(日本ハム)、田中将大投手(楽天)らをはじめ、パの投手は打撃に前向きでした。リーグ戦では打席に立たないだけに、ここぞとばかりに楽しんでいるようにも見えました。
 セ・リーグでは好機は別にして、投手は積極的に打ちにいかないのが不文律です。私はかねてこの風潮に疑問を抱いていました。投手が出塁すれば大量点につながるケースも多く、9番打者の役割は戦術的に重要と思っているからです。
 投手が走者に出ると投球に影響が出るという考え方もありますが、ドーム球場も多くなっていますし、そこまで神経質になる必要はないと思います。何よりファンにとっては、投手が無気力に打席を消化していく姿を見せられるのは退屈なことでしょう。
 総じてパ・リーグの投手は二死走者なしからでも、いい意味で場の空気を読まずに安打を狙っています。そして逆にセ・リーグの投手が打席にいるときも1人の打者としてとらえ、慎重に投げています。これが野球の当たり前の姿なのですが、こんな小さなことの積み重ねもパ・リーグの強さの裏側にあったと思います。

diary2010/06/23

絶好調の和田選手

 中日の和田一浩選手が5月8日に行われたナゴヤドームでのヤクルト戦でルーキー左腕の中沢雅人投手からサヨナラ本塁打を打ちました。中日に移籍3年目の今季は開幕から絶好調です。私は現役時代に毎年、自主トレーニングを一緒に行い、シーズン中も頻繁に食事をともにする仲だったので、その活躍と成長ぶりを頼もしく見ています。
 中沢からの本塁打は初球をバックスクリーンに運んだのですが、今季は中堅を中心に質のいい打球が目立っています。体のバランスがいい証拠でしょうね。持病だった腰痛も問題なさそうです。
 和田選手は西武時代から投手の球種の癖をよく研究していました。ほかの選手にまねできない鋭い観察力と洞察力を持っていました。中沢投手は直球と変化球の腕の振りが同じことに定評がある投手ですが、対戦を重ねたことで何かをつかんだのでしょう。
 昔からこの球を打つと決めたら、攻撃的に振っていました。変化球に体勢を崩されながら片手で安打したことが印象に残っています。温厚な人柄からは想像できないほど、打撃は思い切りが良く、強引な面もあったことを思い出しました。
 プロ入団時は体力が弱く、捕手から外野に回りました。レギュラーに定着しても、いったんスランプに陥ると長かったです。しかし今、そんな面影は消えています。今年は3人目の子どもが生まれ、中日との契約は最終年。発奮材料にも事欠かないだけに、交流戦でも好調のまま終えることができたのでしょう。

diary2010/06/15

マエケン急成長

 4月21日に阪神―広島(甲子園)で今季初めて前田健太投手を見ました。こんなに成長しているのかと驚きましたね。前田投手に近い世代はパ・リーグに好投手が片寄っています。セ・リーグにも待望の本格派右腕が台頭してきたなという印象を受けました。
 直球の球速は昨季より5キロほどアップし、特にスライダーの切れ味が抜群でした。昨季までもいいカーブを放るなとは思っていましたが、今はこの2球種だけで十分です。この日の阪神打線にも八回一死満塁のピンチをスライダー攻めで城島選手、ブラゼル選手を連続三振に仕留める圧巻の場面もありました。
 スライダー以外には、何と言っても間がいいです。捕手から球を受け取るとすぐに投球動作に入っていました。ロージンバッグをこね過ぎることもありません。味方が守りやすいのはもちろん、相手打者に構え遅れさせていました。本当に気持ち良く見ていられる投手です。
 昨年は中盤まで好投しながら、終盤に息切れして大量失点することもありました。今はそんなひ弱さは消え、たくましくなっています。終盤に球威が増すようになっています。広島はお世辞にも打線がいいとは言えず、1点も与えられない中で投げているだけに、前田投手の成長は一層促進されることでしょう。
 ダルビッシュ投手(日本ハム)や岩隈投手、田中投手(楽天)涌井投手(西武)などは終盤に生きた球を投げてきます。前田投手も球界を代表する投手の領域に足を踏み入れつつあると思います。

diary2010/06/06

偉大な記録

 4月18日に金本知憲選手(阪神)の連続試合フルイニング出場記録が1492試合でストップしました。記録が止まる日の前日、金本の外野からの返球を映像で見ましたが、右肩痛が重症なのは明らかでした。
 本人はかなり前から記録がついえる覚悟をしていたのでしょう。チームの勝敗を最優先に考えねばならない立場にもいる選手です。最後は自分自身で幕を引く形になりました。試合開始のぎりぎりまで出場を模索したようですが、記録の重圧から解放されたことでほっとした思いも小さくないと思いますね。
 私は現役のころ、相手打者のファウルチップを受けて肋骨を折ったことが何度かありました。負傷を察知されると盗塁されるので、隠すのに必死でした。痛み止めの薬を飲みながらプレーしましたが、使い続けると効果がなくなってしまいます。私は体が強いと言われていたのですが、けがとの闘いは常にありました。
 金本にも誰にも言えない故障があったと思います。もう駄目だと弱気になったこともあったのではないでしょうか。われわれの知らないところで、それらを乗り越えながらここまで記録を伸ばしてきたのだと思います。
 記録が止まったと表現すると、どうしてもネガティブなニュアンスになってしまいます。だから、今回は大記録が生まれた瞬間と解釈するのが妥当だと思います。球史は栄光の記録が刻まれてきましたが、その中でも金本の記録は最も偉大なものの一つと言っていいでしょう。

diary2010/05/27

捕手の「顔」

 4月14日の巨人と阪神の試合で、捕手の「顔」がリードする上で重要だなとあらためて思わされる場面がありました。久保康友投手―城島健司捕手の阪神バッテリーは1―1の六回一死一、三塁でラミレスを迎えました。この日の久保投手はスライダーがさえわたり、特に右打者の外角に鋭い球を投げていました。
 この重要な局面でも城島選手は初球からスライダーを要求し、外に外れて1ボールとなりました。2球目もスライダーを選びました。久保投手は1球目より内側へ、外角のストライクゾーンに投げて注文通りの遊ゴロ併殺打としました。ここは阪神に勝利をもたらすポイントにもなったところでした。
 確かにいいスライダーではありました。だが、ラミレスほどの打者なら犠飛にできない球ではありませんでした。なぜバットの先端で引っ掛けるように打ち損じたのでしょうか。背景には城島選手の存在感があったとみます。
 ラミレスは、2球目は内角に速球が来るのではという読みがあったに違いありません。強気なイメージがある城島だけに、外を見せて内を攻めてくるだろうという意識があったがゆえに、スライダーに踏み込み切れなかったと思います。
 ラミレスは久保投手より、城島選手と勝負していました。打者にここまで意識させる捕手はそう多くはいません。スライダーを2球続けるのはある意味、単調な配球です。しかし、それを会心の配球に変えるのも、城島選手がプロ生活で積み上げてきたものが特別だからだと思いました。

diary2010/05/22

犠打の裏には血にじむ努力

 ヤクルトの宮本慎也選手が4月9日の阪神戦で史上3人目の通算350犠打を記録しました。私も現役時代に305犠打をマークしました。これは今でもパ・リーグ記録になっているのですが、一つ犠打を決める裏には血のにじむ努力があることを、身をもって知っていると思っています。宮本選手の記録は派手ではないのですが、本当に誇れるものでしょう。
 私はプロ入り前の熊本工業高校時代、バント練習はまともにしていませんでした。クリーンアップだったので、バントのサインは出るはずがないと思っていたからです。高校時代に公式戦で記録したのは確か、1個だけと記憶しています。
 しかし、プロに入って西武での打順は下位でした。走者を進められないと試合に出られませんでした。バントの上達は死活問題でした。キャンプでは徹底的に練習しましたね。バントは球が転がらないバットの先に当てるのが基本です。跳ね返らない分、衝撃は自分の手で受けます。右手親指の付け根は常に腫れ上がっていました。痛くてフリー打撃でフォームを崩すほどでした。
 試合でも身を削っていました。よくボールを人さし指に当てながらバントを決めたものです。手袋がなければ、何度か骨折していたでしょう。実は日本シリーズ中にもそんなアクシデントがあり、次の回の守備で負傷を隠すのが大変だったことを覚えています。
 ネット裏から見ている今でも、一、二塁の状況で右打者が三塁方向にバントを試みるとき、ついその選手を自分に置き換えて手に汗握ってしまいます。それがいかに難しいか、知っているからだと思います。

diary2010/05/16

ビデオ判定に改善の余地あり

 プロ野球では開幕早々、ビデオ判定が多発しました。私はかねてこの制度の導入に賛成してきました。実際に起こって現場関係者の反応を見ると好意的なものが目につくのですが、その一方で現行制度の問題点も浮き彫りになりました。
  3月27日の巨人―ヤクルトではガイエル選手の打球を巡って、インプレーが本塁打に覆りました。この時は映像がバックネット側からのものしかなく、判断が難しかったようです。また翌28日の阪神―横浜でカスティーヨの打球は、映像からは明確に分からなかったという理由で、当初の判定通り二塁打になりました。
 この2件のように映像の不備もあり、ビデオ判定には改善の余地がありそうですね。外野に審判員を置けないのなら、もっとカメラの台数を増やした方がいいと思います。制度の導入を決めたのですから、運用も徹底的に行うべきでしょう。
 まだ開幕1カ月余りですが、ビデオ判定を要する件数は結構ありました。今後も映像に頼らざるを得ない判定が多数、出てくることが予想されます。今はまだシーズン序盤です。これが優勝を争う試合の、勝敗を分けるような場面で訪れたらどうでしょうか。映像が見えにくい中で判定され、現場の関係者は簡単に引き下がるでしょうか。
 正確な判定を期すために導入したビデオ判定が、混乱を招くようでは本末転倒です。早めに改善に動くべきだと思います。

diary2010/04/30

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