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価値下がる日本シリーズ

 日本シリーズで一部の試合が、地上波では全国中継されませんでした。全試合をどこでも見られるのが当たり前だと思っていた日本最高峰の試合がこんな扱いになるとは…。来年以降はもっと中継が減るのかと考えると寂しい限りです。
 昔は学校で教師が授業を中断してテレビで観戦したものです。日本シリーズは日本中が注目する一大イベントでした。プロに入ってからも選手、監督として常にこの大舞台で勝つことをシーズンの最大目標にしてきました。
 近年、球界で日本シリーズは最上の価値が置かれていることに違いなかったのですが、以前ほどの価値はなくなっていると感じていました。それは野球人気に陰りが出ていることだけでなく、ポストシーズンの創設と無関係ではないと思っています。
 今、日本一になるにはクライマックスシリーズ(CS)、日本シリーズと最低でも2度の短期決戦を勝ち抜かなくてはなりません。今回のロッテは3度だした。こうなると、どうしてもポストシーズンの試合価値が分散し、日本シリーズだけがクローズアップされなくなるのは当然です。
 かといって、CSを廃止するのは得策ではありません。CSの仕組みを再考するのも一案でしょうが、日本シリーズの価値を復活させる妙案があるとは思えません。このまま日本シリーズが普通の試合に近づいていくような気がして残念でなりませんね。

diary2010/11/24

短期決戦は難しい

 阪神が巨人に敗れたセ・リーグのクライマックスシリーズ(CS)ファーストステージ。私は改めて短期決戦で選手が本来の力を出すことの難しさを感じました。
 第2戦、阪神は1点リードの八回に藤川球が登板しました。レギュラーシーズンでも2イニングを抑えるのは至難の業です。CSではよりプレッシャーがかかってくるのです。打者2人で2アウトを取っても、藤川球が余裕を失っていたのは明らかでした。
 走者を出してはいけないと意識過剰になって、その結果、四球を与えていました。たった1人の走者でしたが、ここから大ピンチを背負っているような投球になっていきます。決して調子が悪かったようには見えませんでした。負けると後がない一戦でわずか1点リード。自分で自分を追い込んで、逆転を許した内容でしたね。
 短期決戦ではレギュラーシーズン以上に、目まぐるしく流れが変わります。1イニングの中でさえ、どちらが流れをつかむか、それこそ一球一球で激しい攻防が繰り広げられています。1アウトを取ることは本当に容易ではありません。
 パのファーストステージでも西武のシコースキーがリードを守り切れませんでした。両リーグともにレギュラーシーズン2位の抑え投手が本拠地で崩れ、1勝もできずに敗退しました。レギュラーシーズンの「勝利の方程式」が通じないほど、短期決戦は一筋縄ではいかないのだと思いました。

diary2010/11/16

ショック尾を引いた西武

 パ・リーグのクライマックスシリーズ(CS)ファーストステージは、3位のロッテが2位の西武を破りました。しかも敵地で、いずれも逆転での2連勝でした。西武は片岡選手の故障不在、シコースキー投手の不調が確かに響いていました。しかし、それ以上にソフトバンクにペナントを奪われたショックが尾を引いたような戦いぶりでした。
 さらにCS前には渡辺監督の去就が取りざたされたこともあってか、どこか勝負に淡泊で、一丸となって勝ちにいく姿勢を欠いていたように見えました。
 2試合とも優位に進めながら、終盤に追い付かれ、そして勝ち越されるという同じパターンで敗れました。これは144試合のレギュラーシーズンでの西武の戦いがそのまま出たと思いましたね。
 一方、ロッテは伸び伸びとしたチームカラーが前面に出ていました。日本ハムに競り勝ってCSに進出したことが大きかったのでしょう。その勢いを持ち込んでいましたから。私も監督時代にポストシーズンを指揮した経験がありますが、短期決戦ではそういう勢いが鍵を握っていることが多々あるものです。
 寸前で優勝を逃した西武と3位を際どく勝ち取ったロッテ。それほど両軍のチーム力に差がなく、多くても3試合という超短期決戦ではレギュラーシーズンの順位ではなく、どういう終え方をしたかが物を言うと思っています。

diary2010/11/11

楽天にビジョンは?

 楽天がわずか1年でブラウン監督を解任しました。確かに前年の2位から最下位に低迷し、集客にも苦しんだ事情は理解できますが、チームを強化するという点では球団にビジョンが見えないままです。
 近年のパ・リーグは実力が伯仲しています。フロントは誰が見ても優勝は当然と言われるほどの戦力を整えていなかったのですから、すべての責任を監督に負わせるのは酷だと思いました。
 しかも、ブラウン監督の野球は野村前監督とは全くカラーが異なっています。昨季までは監督主導で、選手はプレーを縛られることも多かったのですが、今季は選手任せになり、百八十度方針が変わりました。
 選手には戸惑いが見え、監督もチームの把握に必死でした。チームとしてなじむには時間が必要で、それはフロントも事前に分かっていたことでしょう。もう少し長い目で見てよかったと思いました。
 そもそも前任者の路線継承を掲げながら、ブラウン監督を招聘したことが疑問でした。球団のチーム強化は今に至るまで、ずっと迷走しているように見えます。
 一貫しているのは採算重視ということだけかもしれません。しかし、ファンを集めたいなら、まずは勝つことを優先すべきではないでしょうか。それもスター選手を寄せ集め、知名度の高い監督を据えるのではなく、地道に地元の東北重視で選手を育てることが最善の方法だと思います。

diary2010/11/04

西武野球で優勝

 パ・リーグはソフトバンクが西武に競り勝って優勝しました。私は秋山監督と同郷で、西武で一緒にプレーしていただけに、自分のことのようにうれしく思いました。
 かつて巨人の「V9」を支えたメンバーが各球団に散って監督として活躍していました。私たち西武の黄金時代のメンバーにも、そういう時代が来たんだなと感慨深くもありましたね。
 秋山監督には少なからず、あのころの西武野球を追求していたところがあったと思っています。基本的には投手を中心にした守りの野球です。就任2年目の今季はこれを一層、推進していました。
 リーグ随一の救援陣をバックに、先発で小椋、大隣らを独り立ちさせようとしました。杉内、和田に続く3人目以降の先発を育てるため、少々結果が出なくても我慢して起用していましたからね。
 攻撃も西武野球に通じるものがありました。1、2番が足を絡めてチャンスメークし、4番にもバントをさせるなど、1点を重視する姿勢が際立っていました。
 いかに1点を取り、1点を与えないか―。私が知っている秋山監督は、いろいろな意味で何事にもこだわらない性格です。昨季はどう動いていいか、分からないところがあったと思います。しかし、今季は2年目ということもあって、思い切りの良さや頑固さなど、自分の色を出すことを意識しているように見えました。

diary2010/10/27

大混戦での激しい攻防

 セ、パ両リーグともまれに見る大混戦で、ペナント争いは予断を許さない状況です。こういう状態では一つの進塁をめぐっての攻防が激しくなるものです。9月18日の阪神対巨人(甲子園)でも、そんなシーンがありました。
 両チーム無得点で五回の阪神の攻撃。無死一塁で打者は林威助でした。ベンチとしてはバントで送らせたいのですが、後続が8、9番打者なので仕方なく強攻策を取ったように映りました。ただし、林はその意図をくみ、右方向に引っ張って進塁打という打撃を狙っていました。
 一方、巨人の阿部はそうはさせまいと、配球を組み立てます。初球に内角を見せ、次にそこに来ると分かっていないと打てないほど難しい外角球を要求しました。ゴンザレスはそこに正確に投げ込み、林を手打ちにさせて三ゴロ。一塁走者を二塁で封殺し、進塁を許さなかったのです。
 これほどわずかな差の順位争いの中では、打者はバント一つ取っても相当なプレッシャーがかかってきます。そして相手バッテリーもそれを防ごうと必死です。時にその成否は勝敗に直結することがあります。
 この試合では林が進塁打を放てなかっただけではなく、両軍とも犠打の失敗が目につきました。一見、凡ミスのようですが、実はこれも守備陣を含めて一つの進塁をめぐる攻防の激しさが、シーズン序盤とは違っていることを表していましたね。

diary2010/10/20

落合イズム浸透

 セ・リーグの優勝争いは大詰めで中日が底力を発揮してきましたね。春のキャンプで落合博満監督は「ことしは選手に何も言わなくなった。みんな自主的にやっている。ベテラン連中が率先して引っ張っているのが大きい」と言っていたのを思い出しました。就任7年目。「落合イズム」が隅々まで浸透してきたことに手応えを感じていました。
 シーズンに入っても、ベンチから指示がなくても選手自らが判断したと思われるプレーが見受けられました。まさに成熟した大人のチームになりました。確かに堂上直倫選手ら若手が伸びてきていますが、主力には谷繁元信選手、和田一浩選手らベテランが多いです。落合監督は彼らを完全に掌握しているのです。猛練習をチームカラーで打ち出しつつも、ベテランには調整を一任していました。こういう扱いは気分が悪いはずがありません。
 一方、ベテランにも結果はシビアに求められます。中堅、若手に負けじと練習し、チームにいい緊張感を生んでいました。そんな状態がシーズンでも継続されていったのだと思いますね。
 落合監督の手法は西武の森祇晶元監督によく似ています。森元監督もチームに影響力があるベテランと良好な関係を築こうとしていました。
 これだけ競ったレース展開だと、ベンチとベテランの結束力は強みになります。ペナントの行方は依然予断を許さないのですが、中日が優勝するとしたら、この結び付きがあったからということになると思っています。

diary2010/10/13

ナゴヤドームに負けた巨人

 9月5日の中日―巨人最終戦のテレビ解説でナゴヤドームを訪れました。巨人は今季の中日戦を9勝15敗と大きく負け越しました。最大の要因にはこの日で9連敗となったナゴヤドームとの相性の悪さが挙げられるでしょう。  私は巨人がなぜここで勝てないのか、そう考えながら見ていました。中堅122メートル、両翼100メートルは東京ドームと同じなのですが、外野の膨らみ具合やフェンスの高さからか、視覚的にも広く感じられるのです。巨人のようにホームラン打者をそろえる打線は、より遠くに飛ばさないとスタンドに届かないというように自然に振りが大きくなっていました。
 中日の投手陣には球場の広さが余裕につながっているに違いありません。ほとんど甘いところに投げていなかったですからね。全体的に東京ドームより制球ミスが少ないようにも見えました。そして相性の良さが試合を重ねるたびに自信を膨らませ、さらに制球の精度をアップさせたのではないでしょうか。リーグ随一の投手力がここでは一段と輝きますね。
 一方、巨人の投手陣は疲れがたまる夏場に来て、特に先発の力低下が著しかったです。前半戦で頼りになった5日の先発の東野投手も全く狙ったところに投げられていませんでした。
 振り返ると昨季はグライシンガー、ゴンザレスの両投手が活躍しました。ただ、外国人には毎年同じような働きは計算できません。いくら打線が強力でも、軸になる投手が不在ではリーグ4連覇が危機的な現状になるのも当然です。

diary2010/10/06

球速の信頼性

 ヤクルトの由規投手が日本人投手最速の161キロを記録しました。私は実際に160キロ台の球を見たことがなく、どれだけ速いものなのかと想像力をかき立てられました。
 球速表示が与える現場への影響は大きいです。例えば打者はスピードがさほど出ていないのに、速く感じるから調子が悪いのかなと思ったり、逆に球速は出ているのに速く感じないから調子がいいのかなと思ったりするものです。近年はベンチから球速表示に目をやる選手が多くなっています。
 ただし、球速を気にしすぎるのは問題です。西武監督時代、ある投手がプレーボールの1球目からスコアボードを見ていました。私は「スピードガンではなく、打者と勝負しているのだろ」と諭し、表示を見ないように指導したことがあります。
 投手は打者を打ち取ることが目的で、球速を競っているわけではありません。球速は力量を示す、あくまで目安の一つなのです。投球とはそんなに底の浅いものではないことを踏まえるべきでしょう。
 一方、公式記録ではなく、表彰もされないのに、これだけ話題になっています。ならば球場ごとの誤差を極力、抑えるようにしてはどうでしょうか。由規投手が161キロを出した神宮球場は他の球場よりかなり速いことで有名ですからね。完全に同じ条件にするのは難しいにしても、どこの球場でも近い球速になるように調整すれば記録に信頼性が増し、今以上に球界が盛り上がると思っています。

diary2010/09/30

珍しい記録訂正

 先日、メジャーリーグでイチロー選手(マリナーズ)の安打が10日も経過して失策に訂正されました。私は日本のある公式記録員とこの一件について話しました。日本ではこのくらい後になっての訂正は非常に珍しく、大リーグではあれほど記録が重視されているのに、その信頼性が損なわれるような話だと意見が一致したのです。
  私は現役時代、公式記録員の判断に異議を唱えたことがありました。ある試合でマスクをかぶっているとき、右打者に投げた左腕投手のスライダーがワンバウンドして後ろにそらしたことがありました。当然、暴投だと思ったが、捕逸が記録されていました。納得いなかった私は後日、記録員に説明を求めにいったのです。
 すると、記録員席からではワンバウンドしたかどうか、はっきり見えないままに判断したというのです。「それはないだろう」と言いました。選手は記録ひとつに生活が左右されています。もちろん、記録が覆ることはなかったのですが、例えば安打か失策かを正しく判断するため、試合前に記録員がグラウンドに降りてきて芝や土の状態を確認するように要望もしました。
 イチローは今年、10年連続の200安打達成が予断を許さない状況になっています。1本届かなかったということだって、ないとは言えません。変更に至った詳細は分かりませんが、記録は審判員の判定と同様、権威があってほしいものだとあらためて思いました。

diary2010/09/24

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