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diary

野球できる幸せ

 大地震が発生した時、私は東京都内で車を運転中に信号待ちをしていました。今まで経験したことがない揺れでした。周りを見ると、店舗から驚いて飛び出してきた人がいたりと多くの人たちがパニックになっていました。都内でさえこんな状況だったことを考えると、被災地はどれほどだったのか…。日々、明らかになっていく被害に言葉を失っています。

 私と親交が深い2004年アテネ五輪銀メダリスト、競輪の伏見俊昭選手は福島県出身です。地震が起きた時、本人は東京にいましたが、家族を心配し、すぐに福島に帰っていきました。
 仙台にもお世話になっている人が何人かいます。ニュースを見ると、球界の関係者にも被災者は少なくないようです。陳腐な表現になりますが、胸が痛むとしか言いようがないです。
 阪神大震災の時には球界にもわれわれが一生懸命、野球に取り組み、楽しませることで少しでも被災者を勇気付けようという雰囲気がありました。しかし、今回はそういう次元ではありません。復興の光は見えず、誰もが終わりの見えない不安に襲われています。
 当たり前に感じていた野球をプレーし、観戦し、そして語れる状態がいかに幸せなことだったのか。あらためて痛感させられるばかりです。今は一刻も早く、野球で被災者を勇気付けようと言える状態になることを、心から祈っています。

diary2011/03/21

横浜に期待感も

 横浜がオープン戦の初戦、2戦目を連勝しました。私は常々、下位のチームは公式戦でなくても勝ち方を覚えるため、勝利にこだわっていくべきだと考えています。横浜は今季も戦力的に厳しいことに変わりはありませんが、ひょっとしたらという期待感を抱けるものです。
 キャンプでも幾つかそんな要素を発見できました。昨季途中入団で64試合に出場し、打率3割1分6厘、19本塁打、56打点の好成績を残したハーパーとじっくり話し、制球がいい日本の投手にどう対応したかを尋ねました。
 狙い球を定めて低めのボール球には手を出さないように意識付けたと聞きました。準備の良さとクレバーさが感じられ、開幕から臨む来日2年目のさらなる活躍を予感しました。
 内川が抜けたことで、村田はチームの顔としての自覚が増したように映りました。代わりにつなぎ役に徹することができる森本が加入し、雑だった攻撃がきめ細かくなっていきそうな気配もあります。
 そして、尾花監督がウオーミングアップ中から大きな声でチームをもり立て、選手との距離を縮めようとしていた姿も印象的でした。
 親会社のTBSは球団売却という火種を抱えています。チームがプラスに転じる可能性がある材料がうまくかみ合い、暗い話題を吹き飛ばし、上位と下位の力の差が顕著になって久しいセ・リーグを盛り上げていってほしいですね。

diary2011/03/17

韓国LGを指導して

 韓国のプロ野球、LGツインズの要請で、2月中旬から3月上旬まで臨時コーチとして沖縄・うるまでのキャンプに参加していました。

 2009年のWBCで、韓国代表は私がコーチだった日本代表と死闘を演じ、その強さには興味を持っていました。代表の土台となる国内プロリーグのチームだけに、指導の際にはどうしても日本の球団と比較してしまいました。
 LGが日本の各球団に決定的に劣っているのはスタッフの数です。例えば野手を見ると、チームとしての練習は日本と遜色ないが、打撃投手が少なく、練習後の特打など個人練習がほとんどできていません。本来、キャンプで若手はベテランより練習しなければならないが、ほとんど同じ量です。
 トレーナーも少ないです。投手は自分でアイシングを施し、日本のように投球練習後にマッサージを受けられません。WBCで日本を苦しめた左腕の奉重根投手も例外ではなく、あらためて日本は恵まれていると感じましたね。
 代表レベルでは力が接近している日韓ですが、韓国の国内リーグは私がプロ入りした30年ほど前の状態と同じでした。周囲に聞くと、球団が選手を支配する構図が環境改善につながらないそうです。
 選手個々の能力は高かったです。球団側がもっと選手を大事にすれば、韓国プロ野球はさらにレベルアップし、代表も一段と脅威になるはずです。

diary2011/03/15

心臓強い斎藤投手

 2月10日に日本ハムのルーキー、斎藤佑樹投手のフリー打撃初登板を現地で見ました。中田らを相手にほとんど直球でしたが、テンポが良く、何よりストライクが取れていました。8割はストライクでした。特に外角直球の出し入れは得意なのでしょう。うまく制球していましたね。実戦向きの投手というのが率直な感想です。
 プロの打者に初めて投げた新人が平常心を失い、ストライクを取るのに四苦八苦する姿を何度も見てきました。しかし、斎藤はあれだけ注目されていても、それがなかったです。東京・早実高時代からもまれてきた片りんを感じ、この心臓の強さがプロで最大の武器になっていくと確信しました。
 また、右膝が折れ過ぎるフォームを改造しているようで、課題の体重移動が以前より滑らかになっていました。騒ぐ周囲に影響を受けず、よく考えながら調整していると感心もしました。
 気掛かりなのは球質の軽さです。直球が高めに抜けると、遠くへ飛ばされる場面が何度かありました。こればかりはすぐに改善されるものではないだけに、あらためて斎藤の出来は制球が鍵を握っていると思いました。
 2月13日には初の対外試合を無難にこなしました。球速は仕上がっても140キロそこそこでしょうが、ここまでの調整を見ると精神面から制球を乱す可能性は低そうなので、今後に期待を抱かせました。

diary2011/03/05

評判通りの大石と沢村

 キャンプは初日から日本ハムの斎藤佑樹投手の注目度が群を抜いています。その陰で同じ大卒ドラフト1位ルーキーの西武の大石達也投手と巨人の沢村拓一投手が即戦力の評判通り、順調に滑り出しました。話題性では斎藤投手に太刀打ちできなくても、実力では負けないと存在感を示しています。
 両投手とも直球に光るものがありました。私が投球練習を視察した時、大石は意図的に直球だけを投げていましたが、正確に内外角へ投げ分けていました。
 渡辺監督は「まだ下半身が弱い」と話していましたが、独特の腕の振りと安定感のある体の使い方で、直球はいつでもストライクが取れそうですね。見ていて安心できる制球力でした。
 一方、沢村投手は指に掛かった時は、すごい直球を放っていました。大石よりも速かったです。ただ、縦に曲がるスライダーはワンバウンドしたりで、1球もストライクを取れていませんでした。しかし、あの直球があれば、フォークボールを使う感覚でたとえ真ん中付近に投げても、打者は振ってくるのではないかと思うほどでした。
 大石、沢村両投手に共通する課題は変化球の制球力です。どんなに速くても、直球だけならプロの打者には対応されてしまいます。これから本格化していく実戦形式の投球で精度を上げていけば、1年目からかなりの成績を残せるでしょう。

diary2011/02/26

ザックJAPANと重なる日本野球

 サッカーのアジア・カップで優勝した日本に、私がコーチとして参加した2009年のWBCで連覇した日本の姿が重なりました。
 今回の代表チームは結束力が強固だったと聞きました。ザッケローニ監督の配慮もあって、控え選手を含めて一体になったようですね。WBCでもレギュラー以外の選手が緊張感を切らさず、時には裏方の仕事をこなしながらチームを支えたのが大きな勝因となりました。
 プレーの特長も似ていると感じましたた。日本はオーストラリアや韓国に体格や体の強さでは劣っていましたが、俊敏さや運動量、巧みなパスワークで対抗していました。WBCで米国やキューバと対戦した時も、やはり日本はパワーでは太刀打ちできませんでした。その差は永遠に埋まらないのではないか、とさえ思いましたからね。
 代わりに何で勝負したかというと、野手の機動力であり、投手の精密な制球力であり、自己犠牲の精神でした。これらはわれわれの器用さや勤勉性などに起因しており、日本人が急激にパワーアップしないように、一朝一夕に身に付くものではありません。
 サッカーがワールドカップの好成績を目指すなら、さらに自分たちの特長を突き詰めていく必要があるでしょう。そして、同じことが13年のWBCで3連覇を狙う日本野球にも言えると思います。

diary2011/02/18

小林宏投手のメジャー断念

 ロッテから海外フリーエージェント宣言していた小林宏投手が米大リーグ移籍を断念し、阪神入りを決めましたね。
 野茂英雄投手以来、多くの日本人投手が海を渡り、佐々木主浩ら複数の成功者が続きました。しかし、近年は実績を残せずに帰国するケースが増えています。日本では一流だった投手が無条件にメジャー契約を結べませんでした。野手に続き、日本人投手も評価が一段落したと言えます。
 小林宏投手は昨年、抑えとしてロッテの日本一に貢献した。しかし、フォークボールはもともと落差が大きくなく、それを振らせるための球威もメジャーでは並の部類。針の穴を通すような制球力があるわけではなく、球種もさほど多くありません。右投手が豊富なメジャーの中継ぎ事情を考えると、先発もリリーフもできる持ち味もセールスポイントとしては決め手を欠いていました。
 さらに昨年、移籍した五十嵐亮太投手(メッツ)が苦しんだことも逆風になったと思います。小林宏投手は五十嵐投手と似たタイプで、五十嵐投手より球威が落ちるからです。
 高橋尚成投手(エンゼルス)のように抜群の制球力を持つ上に球種が豊富、そこに左腕という希少性が加わるような投手は、これからもニーズがあるでしょう。しかし、裏を返せばそのくらいでないとメジャーでは投げられない、そんな時代になりました。

diary2011/02/11

落合監督の殿堂入りに

 中日の落合博満監督が野球殿堂入りを果たしました。三冠王に3度輝き、現役時代の実績は申し分ないものがありました。昨年まで2年連続で1票差で逃していたので、その結果自体に驚きはありませんでした。

 意外だったのは落合監督の喜びようです。過去、同じように選手にとってのステータスである名球会入りを辞退しているだけに、まさか家族と祝杯を挙げたいと表現するほどとは思いませんでした。
 殿堂と言えば、私には亡くなった人やユニホームを脱いで久しい人が選ばれるイメージが強かったです。それが数年前に規定が変更され、引退後に監督やコーチとしてユニホームを着ていても選出が可能になりました。現役監督の選出にはやや違和感を覚えますが、野球人冥利に尽きる、最高に幸せなことだと想像できます。しかも表彰式が行われるのは、自分が指揮を執る今年のオールスター戦で、場所は本拠地ナゴヤドームというのが一層、その思いを強くさせました。
 今回、落合監督は選手としての実績を評価されました。しかし、中日を毎年優勝を争うチームに育て上げ、指導者としても球史に確かな足跡を残しています。球界には「名選手、名監督にあらず」という言葉もありますが、今夏、セ・リーグを率いながらユニホーム姿で表彰される落合監督に、それを覆したことをあらためて実感するのかもしれません。

diary2011/02/04

常勝の名残で難航

 西武・涌井秀章投手の契約更改交渉が難航し、現状維持の推定年俸2億円を不服として自費でのキャンプ参加も辞さないそうです。先日、ダルビッシュ(日本ハム)は現役日本人選手最高の5億円で契約更改しました。親交が深く、切磋琢磨してきた同級生とは明暗を分けています。
  ダルビッシュは名実ともに球界ナンバーワンの投手です。やや高いと思われる年俸には、成績以上の評価が加味されているのでしょう。ただ、涌井は近年の成績でダルビッシュに引けを取りません。岩隈久志投手(楽天)に匹敵する3億円でもいいと言いたいところですが…。
 球団が譲歩しない一因は、常勝西武の名残だと思われます。私が現役時代には、優勝を逃すとどんなに個人成績を残しても、球団には「優勝できなかっただろ」のひと言で増額幅を抑えられたものです。
 「3年1軍でやったら一人前」どころか「3年連続で優勝したら大きく上げてやる」と言われたこともありました。それは私だけが例外ではなく、西武の選手の誰もが優勝しなければ主張できないのは当然だと思っていました。
 しかし、今の球界は違います。最下位でも2桁勝利、打率3割などの成績を残せば、優勝球団の選手と同様に増額します。涌井投手の釈然としない心情はよく分かります。一方、涌井がプロ入り後に絡んだ優勝は1度だけで、西武の伝統を考慮するなら球団の提示は致し方ないと思うしかない部分があるのかもしれません。

diary2011/01/27

星野楽天の浮沈の鍵は…

 2011年は斎藤佑樹投手(日本ハム)とともに、星野仙一新監督が就任した楽天が話題の中心になるでしょう。星野監督は8年ぶりの復帰です。その間に北京オリンピックの日本代表監督を務め、メダルを逃して物議を醸したこともありました。心中期するものがあると思われます。私も昨季最下位に沈んだ楽天をどう立て直すか注目しています。
 戦力的には十分に優勝を狙えると思います。大リーグ帰りの岩村、松井と大型補強を敢行し、岩隈もメジャー移籍を断念して残留しました。特に確実に2けた勝利が計算できる岩隈の存在は大きいですね。
 一方で首脳陣には不安を抱えています。星野監督の名参謀として知られた島野育夫さんは07年に亡くなりました。北京オリンピックの惨敗は参謀役の不在が原因との指摘もありました。今回もこのポジションが浮沈の鍵を握るとみています。
 今の顔触れで参謀役になるべきは阪神、北京オリンピックで星野監督とともに戦った田淵コーチ、仁村コーチでしょうか。島野さんのように、監督と選手の間でうまくバランスを取ることが求められる役割です。ある時は監督に物申し、ある時は選手に監督の意向を的確に伝える。あれほど個性の強い監督になると、余計にそのさじ加減が難しいはずです。
 今季パ・リーグはソフトバンクが頭一つ抜けているとみられますが、どこが優勝してもおかしくないほど力は拮抗しています。楽天は参謀役が機能すれば、球団史上初のリーグ制覇に近づくと思っています。

diary2011/01/20

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