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diary

プロアマ関係の在り方

 先日、NPBの記念イベントとして26歳以下のNPB選抜と大学生の日本代表チームが対戦しました。来年のドラフト会議で目玉になりそうな早稲田の斎藤佑樹投手がプロ選手と対決するとあって、試合前から注目度は高く、当日も盛況だったそうです。しかし、私にはそれ以外のところで意外な発見があった試合でしたね。
 最近の大学野球のレベルは落ちていると思っていました。が、実際はそうではなかったのです。特に投手はプロと互角に渡り合っていました。プロ相手に力を試せるだけに、モチベーションが高かったことも力を引き出したのでしょうが、今すぐにでもプロで通用しそうな素材は1人2人ではありませんでした。
 こんな試合を見ると、毎年プロとアマチュアがこうやって交流すれば面白いななどと、プロアマの関係の在り方も考えさせられました。例えばサッカーでやっている天皇杯のように、まあ、高校生の参加は難しいにしても、社会人や独立リーグのチームがプロチームとトーナメント方式で争ってもいいのではないでしょうか。プロを目指す選手たちにとってはプロと対戦することが大きな励みになるでしょうし、プロ側にとっても、スカウト活動の判断材料が得られるなど、貴重な機会になると思いました。
 これまで日本球界は他のスポーツと比べると、プロとアマの関係が協力的ではなく、いびつなものでした。アジアシリーズなどで国際化を図ることも大事だとは思いますが、今回のような企画をさらに前に進め、一層、プロアマ一体となって球界の発展につなげていって欲しいと思います。

diary2009/12/21

工藤投手の西武復帰

 先日、工藤公康投手が16年ぶりに西武することが決まりましたね。来季は47歳で、1軍登板すると実働は実に29年となります。単純に29歳まで野球を続けられない選手が多いプロの世界で、驚異的な息の長さです。

 工藤投手とは私も西武時代にバッテリーを組んだことがあります。彼が20歳代だった当時を振り返ると、今の姿が納得できる取り組みをしていました。今でこそダルビッシュ投手ら一流選手が当たり前のように行っているサプリメントの摂取や、科学的なトレーニングはそのころはまだ、一般的ではなかったです。が、工藤投手はこれらをいち早く取り入れていました。新しい試みをする旺盛な好奇心も持ち合わせていたと思います。
 もともと体が強かったのも大きいでしょう。完投するときに130、140球を投げるのはざらで、終盤になってもスピードが落ちなかったです。肩、ひじの関節が柔らかく、故障に強かったです。さらにフォームは肩やひじに負担がかかるようなものではなく、理にかなっていましたからね。
 西武には涌井秀章投手、岸孝之投手と若手に有望な人材が多いです。工藤からまだ学ぶことがあるでしょうし、注目のルーキー菊池雄星投手にとって工藤投手は同じ左腕で、まさに生きた教科書になることでしょう。
 西武はリリーフ陣が弱いだけに、戦力としても貴重です。場合によっては今年、チームが苦しんだ抑えでの起用もあるかもしれません。

 パ・リーグ復帰は久しぶりです。かつてのような球威はないですが、投球術は超一流です。若く、生きのいい投手が多いリーグで、ひと味違った熟練の投球を期待したいと思っています。

diary2009/12/14

松井選手のMVP

 今週でワールドシリーズの話題も最後になります。締めは、あの選手のことしかないですよね。

 皆さんもご存じのように、ヤンキースの松井秀喜外野手がMVPに輝きました。長いシーズンに好不調の波はあります。好調を維持するだけでも難しいのですが、松井選手は世界最高峰の舞台にピークを持ってきました。まさかそれが日本人選手だったとは…。私も現地でもうこんな場面に出会えることは2度とないだろうなと思って見ていました。
 始まりは初戦のヒットだったと思います。これで松井選手は気分的に楽になったと思います。2戦目にはフィリーズのマルティネス投手のカーブを安打にし、さらに難しいひざ元のカーブをスタンドに運んでいます。優勝を決めた第6戦でもマルティネスから本塁打を放ちました。この時、マルティネスは狙ったところにいかない状態に陥っていました。明らかに苦手意識が見えました。それほどこのシリーズでの松井選手にはオーラがありましたね。
 その背景には何より気力の充実があったと思います。ヤンキースのユニホームを着ては最後になるかもしれない世界一のチャンスを逃したくないという気持ちが、ほかの誰よりも伝わってきたからです。
 一方でシリーズ前に私のインタビューを受けてくれたときは非常にリラックスしていました。そもそもインタビューを受けられること自体に余裕があるなと感じましたね。シリーズに懸ける意気込みは絶妙なバランスで保たれていたと思います。
 松井選手の巨人時代の最終年は日本一で締めくくっています。今回も当時と同様に去就が注目される中での活躍で、当時と重なるものがありました。松井選手はやはり、こういう節目の年は強いなと思いました。

diary2009/12/07

世界一の起点は守備

 先週に引き続き、今週もワールドシリーズの話です。今年はヤンキースが4勝2敗で世界一になりました。第1戦の黒星からの栄冠でしたが、大きく流れを引き寄せるプレーが第2戦の守備にありました。

 0―1の四回無死一塁。ヤンキースのモリーナ捕手がけん制球でフィリーズの一塁走者を刺したのです。バーネット投手のワンバウンドの変化球をうまく捕球し、まったく無駄な動きなく強肩を生かした送球でした。
 打席にいたのは左打者でしたが、一塁走者は打者の足元で球が弾むのがよく見えます。瞬間的に二塁へスタートを切ってしまうものです。モリーナの送球はそこを突く形になりましたね。肩が強く、狙っていないとできない送球で、正捕手のポサダではできなかったプレーでしょう。
 直後にヤンキースは同点とし、この試合に勝って1勝1敗のタイにしました。本拠地で連敗して敵地に行くのとは大違いでした。まさに守備からリズムをつかんで、3、4戦目のビジターでの連勝につなげていましたね。
 モリーナの姿に、手前みそですが、西武の現役時代のことを思い出しました。1990年の巨人との日本シリーズ初戦のことでした。一回無死一塁で私も同じように一塁走者をけん制球で刺したことがあります。立ち上がり不安定だった先発の渡辺久信投手(西武監督)も立ち直って、巨人に4連勝して日本一になった記憶があります。
 両チームに力の差はなくても、短期決戦はこういうプレーが分岐点となって一方的な展開になるのは、よくあることです。それは日米共通のことなのだと改めて思い知らされました。

diary2009/11/30

大舞台の怖さ

 今年も昨年に続いてワールドシリーズにNHK解説の仕事で行ってきました。言うまでもなく世界最高の舞台です。私はそこであらためて大舞台が捕手の配球を狂わせる怖さというものを見せられました。
 第1戦の六回、1点を追うヤンキースの守りでした。打席にはフィリーズの3番に入っていた左打者アットリーです。前の打席で先制本塁打を浴びていました。この打席はカウント2―0と追い込んで、捕手のポサダは左腕サバシアに内角高めへストレートを要求しました。セオリーなら外角のスライダーか、チェンジアップで、ここはかなり強引な配球でした。
 3球目はファウルになりましたが、アットリーは物の見事に引っ張っていました。この配球が危ないことは誰の目にも明らかでした。しかし、ポサダは次の球も内角高めの直球を求め、サバシアは同じところに投げ切れず逆球の失投になってしまいました。アットリーには2打席連続の一発を浴び、ヤンキースが初戦で完敗する最大の要因になりました。
 そこまでの2打席でアットリーはストライクからボールになる外角のスライダーに全く手を出していませんでした。何か癖でも分かっているような雰囲気でなぜここまで見極められるのか、ポサダは不思議に思っていたことでしょう。
 そこで逆の対角線の攻めに活路を求めたのでしょうが、強引過ぎました。2球続けたのも「前打席の本塁打の借りを返す」と頭に血が上っているように見えましたね。レギュラーシーズンなら、こんな配球もしなかったと思います。世界一を争うその初戦だからこそ、ポサダは我を失ったように私には見えました。

diary2009/11/23

楽天敗退の一因

 今年のシーズン終盤から快進撃を続けていた楽天が、クライマックスシリーズ(CS)の第2ステージでは日本ハムに1勝しかできずに敗退しました。流れは初戦のスレッジの逆転サヨナラ満塁本塁打で決まってしまいました。一方で、楽天で見逃せないのが主砲の山崎武司内野手の不振でした。第1ステージから第2ステージ初戦までは好調をキープしていました。暗転への分岐点は2戦目で、糸数投手と鶴岡捕手のバッテリーの攻めに屈したことでした。  
 山崎選手は徹底したシュート攻めに遭って、3打席目まで凡打を繰り返しました。4打席目は1―1の七回二死一、二塁。鉄平選手の敬遠四球で回ってきた勝ち越し機でした。この打席で糸数投手は鶴岡捕手の構えたミットと反対にいく逆球が3度もありました。ところが、山崎選手はことごとく打ち損じ、左飛に倒れました。
 短期決戦はレギュラーシーズンの1試合と違って、1球への集中力は極限まで高まっているものです。しかも山崎選手はリーグでも屈指のスラッガーです。ミスショットの確率は低いはずでした。私は多くの試合を見てきましたが、あのレベルの打者が失投を3度も打ち損なう光景は記憶にありません。信じられなかったです。
 力みが原因ではなかったと思います。日本ハムバッテリーのシュート攻めに完全に打撃を狂わされていたからだと思います。内角に意識過剰になっていたからこそ、失投でもとらえられなかったのです。直後に楽天は2点を勝ち越されました。その後、山崎選手が本来の打撃を取り戻すことはありませんでした。

diary2009/11/16

捕手の経験

 少し前の話になりますが、パ・リーグのクライマックスシリーズ(CS)で、ソフトバンクが2連敗であっという間に敗退しました。あの時の楽天には勢いがあったと言えばそれまでなのですが、私は田上捕手のリードが敗因の一つとみています。
 1球が勝敗を分ける短期決戦では、捕手の配球が占めるウエートはレギュラーシーズンよりもずっと大きくなると思っています。田上捕手は楽天にはいない不動の正捕手でした。私はここが機能すればソフトバンクの勝機は広がると予想していたのですが、逆に経験の浅さばかりが目につきました。
 短期決戦には短期決戦なりの配球というものがあります。下位の打者にも、クリーンアップと同じように攻める必要があることもあります。特に2試合目の四回二死一、三塁、7番の中村選手ににカウント1―2から許した先制打の配球などは象徴的なものでした。
 敗れれば終わりの状況で、安易に直球でストライクを取りにいったからです。リーグ戦の1試合ならそれでもよかったかもしれません。しかし、ここは4番打者に対するように、たとえ四球を与えて塁を埋めてでも慎重に攻めるべき場面でした。
 田上捕手は今年の開幕前の評価は決して高くはありませんでした。武器の打撃で一気に正捕手の座をつかみました。一方でリードも成長の跡を見せていました。しかし、1試合の重みが増したシーズン終盤に入ると攻守に精彩を欠いていっていました。初めて味わうプレッシャーに押しつぶされたように見えました。その流れのまま、CSにも突入してしまいました。
 ただし、どんな名捕手にも初めてはあるものです。来年はこの苦い経験を糧に、さらに大きくなってCSに戻ってきてほしいですね。

diary2009/11/09

監督交代

 今日も楽天で今年まで広島で監督をしていたブラウン監督の就任が発表されましたが、来季から多くのチームで監督が代わりますね。各球団にそれぞれの事情があるようですが、少し最近の球界の風潮には違和感を覚えますね。なぜなら、どこか監督の価値というものが軽んじられているからです。
  日本で監督ができるのは12人しかいません。監督は、かつて野球人なら、誰もがあこがれるポジションでした。それが今はどうでしょうか。球団に配慮されているのは限られた人間だけで、消耗品のように扱われるケースも少なくないように思えます。このように敬意を払われない現状が続くと、監督を目指す人間も減ってしまいます。あこがれるどころか、たとえ要請があってもこれほどリスクがあるなら、ちゅうちょしてしまうこともあると思います。
 最近、球界では監督の人材難が指摘されてきました。しかし、それは選ぶ側も助長していた部分があったと思います。結果が出ないからといって1年や2年で若い監督を代えるようでは、育つものも育たないでしょう。
 私は幸い、西武で4年監督をやらせてもらいましたが、今、監督は2年契約が当たり前になっているのではないでしょうか。昔とは比較にならないほど、スピード感が求められる時代です。長期契約を保証するのが難しいのは分かっています。ただ、そんな中でも球団は監督を育てていくという視点を頭に置いてもらいたいなと思っています。

diary2009/11/02

楽天のCS出場に感慨

 楽天が第2ステージで日本ハムには負けましたが、球団史上初めてクライマックスシリーズ(CS)に進みました。私も西武監督2年目の2005年から3年間、対戦相手としてチームの変遷を見てきましたが、まさかこんな時が来るとは当時はまったく考えられませんでした。
 特に1年目の楽天戦は勝って当然のカードでした。3連戦なら最低でも2勝1敗、負け越しなどはあり得ませんでした。選手構成を見ても寄せ集めの観は否めませんでした。試合前のミーティングでも、岩隈久志投手以外の先発投手や各打者を神経質に研究することもありませんでした。出たとこ勝負で十分に勝てるくらい、力の差があったものです。それは他球団にとっても同じだったと思います。
 楽天選手は環境面でも恵まれていなかったと思います。例えば月曜の練習日の昼食は、通常なら球団が用意するのですが、選手から1人500円を徴収していたと聞きました。試合前の練習は球団スタッフが不足していたため、よくスポーツ用品メーカーの職員が手伝っていましたからね。
 そんなチームがCSに進み、日本シリーズ出場を争うところまでこぎ着けたのです。野村克也監督の先を見据えたチームづくり、ドラフトで田中の指名を勝ち取った運、そして仙台のファンの後押しなど、要因は一つではないでしょう。私は創設当初、楽天の親会社が3年程度しか球団を保有しないのではとさえ思っていただけに、今シーズンの楽天の躍進は感慨深いものがありましたね。

diary2009/10/26

大当たりのCS

 セ、パ両リーグでクライマックスシリーズ(CS)がスタートし、それぞれで盛り上がりを見せていますね。

 CSに至るまでもレギュラーシーズン最後まで、セはヤクルト、阪神、広島の3チーム、パも日本ハム、楽天、ソフトバンク、西武で激しく争っていました。最後の最後まで、手に汗握る展開でした。
 5年前、私が西武の監督に就任した1年目にプレーオフ制が導入されました。その年、西武はリーグ戦2位での通過から日本一になりました。だから、というわけではないのですが、球界全体を見てもこの制度は有形無形の恩恵をもたらしたのではないでしょうか。
 かつて西武の黄金時代などは早々と優勝争いの大勢が決まって、消化試合が多かったのです。CSはリーグ戦の価値を下げるという意見も依然残ってはいますが、無駄な消化試合を劇的に減らしたのもCSなのです。これが最大の功績だと私は思っています。
 選手は極度のプレッシャーの中で短期決戦を経験することで、精神的にも成長できます。それもこれまでなら限られた選手しか日本シリーズでしか味わえなかったのですが、今は多くの選手が短期決戦にもまれる機会があります。それは日本球界の力を底上げするでしょうし、その積み重ねも今春のWBC連覇につながった、と言っても過言ではありません。
 CSは導入時期が日本ハムの札幌移転、仙台での楽天の誕生に重なったことで、地元に根付く後押しもしてきたと思います。本来なら2位の楽天はその時点でシーズンが終わっていましたから。おかけでパ・リーグのマイナー色は一掃されもしました。特に私のようなパ出身者には大当たりの制度だったなと思うのです。

diary2009/10/19

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