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diary

驚きの阪神打線

 セ・リーグの前半戦で最大の驚きは阪神打線の変ぼうぶりでした。
 城島健司、マートンの2選手の新戦力が打線の迫力を見違えさせました。金本知憲選手がシーズン序盤で先発出場から外れても、それを感じさせない破壊力を見せてきました。金本選手が先発に戻ってきた今、巨人の強力打線をしのぐのではないかと思うほどですね。
 巨人と同じく、どこからでも点を取れるようになりました。4番の新井貴浩選手が不振のときもありましたが、ほかの選手で点を取って勝つので、それもあまり目立たなかったです。こうなると新井選手は重圧が減り、復調が早くなるというものです。これは新井に限らず、ほかの選手にも言えるです。阪神は打線全体で常に一定の好調さを保っている印象です。
 空中戦でも巨人と互角以上に渡り合っています。東京ドームの試合では、昨季まで阪神の投手陣が感じていたプレッシャーを、今は巨人の投手陣が阪神打線に感じているように見えます。これをシーズンの早い時期に印象付け、自信を持てたのは大きかったです。今やチームはある程度なら失点しても、取り返せる感覚を持ちながら戦えています。
 打線は水物とされるますが、阪神は巨人とともにそれが当てはまらないチームになりました。中日の投手力は侮れないものの、後半戦も巨人に気後れすることなく戦えるのは阪神だけだと思っています。

diary2010/08/29

西武に待望の左打者

 少し前の話ですが、西武に生きのいいバッターが出てきました。2年目の坂田遼選手です。7月4日に2010年の初出場を果たすと11日までの6試合で4本塁打を量産しました。
 ずんぐりした体形、ユニホームの着こなしはストッキングを見せるオールドスタイルでした。今の若手が目指しているスマートなイメージとは懸け離れています。経歴は函館大学からドラフト4位の入団で、エリートコースを歩んできたわけでもありません。しかし、私にはこれらのことが坂田選手の勝負強さを形成しているように見え、余計に魅力的に感じられました。
 初対戦の投手でも気後れせずに、初球から積極的に振っています。同じ変化球を続けられたら、2球目にはきっちり対応していました。ベンチからすると、何かやってくれそうな雰囲気を持っています。こういう打者はそうそういないものです。
 守備や走塁は1軍レベルとは言い難いです。しかし、打撃には大きな可能性を感じますね。
 西武は以前から、右打者に比べると左打者の長距離砲不足していました。打線のバランスという点でも貴重な存在ではないでしょうか。

diary2010/08/23

トレーニングと選手寿命

 楽天の田中将大投手7月4日に右太もも裏を痛めて出場選手登録から外れました。練習中のけがだそうで、ひと昔前なら考えられない故障の仕方だと思いました。
 今年はほかにも中村剛也選手、岸孝之投手(西武)、松本哲也選手(巨人)ら主力に故障が続出しています。昨年までとけが人の“総量”は大きく変わっていないのかもしれませんが、中心選手だけにその多さが目立ってしまいます。
 私は一因として、基礎体力の強化がおろそかになっていることがあると思っています。特に若い選手はトレーニング法やサプリメントの知識ばかりを追求し、例えば走ることなど基本的な練習が減っているように感じます。「野球の筋肉は野球でしか鍛えられない」などとされてきた言葉など、通じないようです。
 さらに体に異常を感じたらすぐに申告し、持ち場を離れることもしばしばです。昔は弊害もあったが、ポジションを奪われまいと致命的な故障でない限りは隠すのが常でした。今は故障を未然に防ごうとしている半面、結果的に故障に弱い体になっているようにも思います。
 球界では近年、多くの40歳代の選手が活躍しています。しかし、彼らはいずれも若いときに徹底して基礎体力の強化に努め、その貯金が今に生きています。幹ではなく、枝葉を鍛えているように見える今の選手たちは彼らに続けるのでしょうか。今以上に選手寿命が延びているかについて、私は少し懐疑的に見ています。

diary2010/08/14

リード充実で本塁打量産

 巨人の阿部慎之助選手がホームランを量産しています。もともと打てるキャッチャーですが、私は今シーズンの好調さの陰には、リード面の充実があるとみています。

 近年、阿部選手の投手への接し方には成長を感じていました。自ら歩み寄ってコミュニケーションを取ろうという意欲が見て取れ、年々中心選手としての自覚が出てきていました。例えば捕球一つ取っても、以前はミットが流れるような、いいかげんなところがありましたが、今は一球一球、気持ちを込めて捕っています。
 今季は「自信を持って、ここに投げてこい」というしぐさでピッチャーを鼓舞し、安心感を与えることも増えました。配球そのものに劇的な変化はないものの、女房役としての存在感は今や球界屈指となっています。
 年下の投手ばかりで、リードしやすくなっている面はあるでしょう。しかし、それを差し引いても投手の信頼を勝ち取っていることは評価に値します。守備で投手にこれだけ信頼されてチームが勝てば、リード面の負担は減ります。そうなると、よりバッティングを追求する時間が得られるものです。そして打つことでピッチャー、チームからの信頼感はさらに増し、リードもしやすくなる。まさに好循環ですね。

 31歳の阿部選手。私の現役時代を振り返っても、脂が乗る時期に来たと思います。あと数年、頑張って“貯金”を蓄えれば、40歳でも第一線でプレーすることが見えてくるはずです。

diary2010/08/07

城島選手の持ち味

 6月19日に行われた横浜と阪神の試合では、城島健司選手の捕手としての持ち味が存分に出ていました。

 1―1の三回一死三塁での阪神の守りでした。横浜の石川選手に初球ファウルからの2球目。城島選手はは久保投手に外角へ外す球を要求しました。投球はバウンドしましたが、これを捕球すると、すぐさま三塁にけん制球を送りました。三塁走者の下園選手は戻り切れず、タッチアウトになりました。阪神はピンチを脱し、直後の攻撃で4点を勝ち越しました。試合の流れをも変えたピックオフプレーだった。
 城島選手は初球でカウントが有利になったことで、けん制球を狙っていたと思います。ボール先行から外すと、2ボールになって苦しくなるからです。ここしかないという状況でした。もともと城島選手はピックオフプレーを得意にしています。勝負勘の鋭さは健在ですね。
 一方の横浜は下園選手の走塁がお粗末でした。ベンチからゴロなら本塁を突けと指示され、意識が前に行っていたのでしょうが、あまりにも不用意でした。頭から滑り込む帰塁の仕方もまずかったですね。捕手の送球を邪魔しながら、三塁線上を立って戻る基本がおろそかになっていましたから。
 試合は阪神の完勝でした。阪神が城島選手の存在感で巨人とし烈な首位争いを繰り広げている現状と、細かなプレーに課題がある横浜の苦戦が続いている現状につながっていることが端的に表れた場面でもありました。

diary2010/08/05

オリックス版JFKで優勝

 交流戦で優勝したのはオリックスでした。光ったのは試合終盤のリリーフ陣の必勝リレーでした。  昨季まで主に先発だった岸田護、平野佳寿両投手を救援に回した配置転換が当たりました。彼ら2人だけでなく、オリックスの先発陣には好投手がそろっていましたが、完投能力の高い投手は好調時の金子千尋投手ぐらいでした。
 岡田彰布監督はリリーフに適性がある投手を的確にピックアップしていました。特に先発で伸び悩んでいた平野投手は生き返りましたね。当初抑えだったレスター投手が不安定と見ると、すぐさま岸田投手と入れ替えています。この辺の決断も素早かったです。
 岡田監督は阪神監督時代に「JFK」を確立しました。もともと勝利という結末から逆算し、投手をはめ込んでいく手法が得意です。このこだわりをオリックスにも持ち込み、交流戦初優勝という成果を出しました。
 オリックスはかねて投打に若手の好素材が多かったです。一方で経験の浅さから、もろさが同居していました。岡田監督はそんな弱点を見抜いていたのでしょう。だからこそ、開幕から試行錯誤を繰り返しながら、勝ちパターンをつくり上げていったのではないかと思っています。
 今やチームにはこの型に持ち込めば勝てるという自信が芽生えました。投打の歯車がかみ合うようになっています。交流戦前よりはるかにチーム力はアップし、リーグ戦での上位進出にも機は熟してきました。

diary2010/07/25

西岡選手の活躍に思う

 今年はロッテの西岡剛選手の充実ぶりが際立っています。首位打者を争う好調な打撃、そして主将としてチームを引っ張る姿は、心身ともにどこか不安定だった昨季までとは別人のようですね。
 私は今春の石垣島キャンプで西岡の黒くなった髪を見て、今季の活躍を予感しました。凡打でも一塁まで全力疾走しています。こういう姿勢は必ず、結果に表れるものです。打席では優勝した2005年のような粘りやいやらしさが戻ってきました。もともと高い技術を持っていましたが、気分屋でむらっ気がありました。そんな面影は完全に消え、ようやく大人の選手になった感じがします。
 西岡選手の転機は昨春のWBCで日本代表から落選したことだったと思います。国際大会での実績を考えると当然選ばれると思っていたでしょうが、われわれ首脳陣の評価はその精神的なものから決して高くなかったのです。
 本人のショックと悔しさは相当なものだったと聞きました。それを昨年のシーズンで爆発させようとしたのでしょうが、そう甘くはありませんでした。苦しんで自分を見つめ直す時間が長かった分、今季に懸ける思いは強くなっていったのでしょうね。
 ロッテは快進撃の象徴だった新人の荻野貴司選手を筆頭に、故障者が続出しました。それでも上位で踏ん張っている陰には西岡の成長があると私は見ています。もし今、日本代表の選考にあって私が関われるなら、真っ先に名前を挙げたい選手になりましたね。

diary2010/07/15

複雑な辞任劇

 少し前の話ですが、ヤクルトの高田繁監督がシーズン途中で辞任しました。3年契約の最終年で迎えた今シーズン、チームの低迷の責任を取る形でした。私はこれに潔さを感じつつも、どこか釈然としない複雑な感情を抱きました。
 まず、どんなことがあっても、最後まで指揮を執ってほしかったという思いがあるからです。下位に低迷するチームは、誰が監督でも立て直しは困難なものです。自ら尻ぬぐいをするのが指揮官の務めでもあると思います。
 ヤクルト球団は最後まで高田監督に指揮を任せたいとしていました。ポストシーズン進出の望みが薄くなり、来季の続投が絶望的になったから辞めたとの見方があっても仕方ないかもしれません。
 一方、高田監督もこれらのことは重々、分かっていたはずです。にもかかわらず、途中でユニホームを脱ぐのはよほどの事情があったと思われます。詳細は外部からでは分かりませんが、球団は例えば、外国人選手の補強で後手に回った観がありましたね。伊勢孝夫さんを打撃アドバイザーに招いた策もどこか付け焼き刃に見えましたから。低迷の責任を監督一人に押しつけることはできないと思います。
 高田監督を招聘した3年前、少なくとも今よりは現場と球団が同じ方向を向いていたと思います。外部からの血でチームを何とか立て直したいと。それが契約最終年という微妙なシーズンになると、こんなふうにずれが出てくるのでしょうか。もう少し違った結論はなかったのかと、私は思わずにはいられませんでした。

diary2010/07/08

カーブだけではない岸投手

 西武の岸孝之投手が今季は投球の幅を広げた姿を見せています。私はその陰に、昨季まであまり投げていなかった右打者へのチェンジアップがあると思っています。
 岸投手は私が西武で監督を務めた最後の年にプロ入りし、当時はスライダーが最大の武器でした。チェンジアップも放っていましたが、対左打者に限定していました。当時からカーブはいいものを持っていて、使うように勧めていましたが、なかなか使う勇気を持てませんでした。それが2年目の日本シリーズで巨人相手に自信を付けて完全に自分のものとし、今では彼の代名詞にもなっています。
 もちろん、今季もカーブは威力を発揮しています。しかし、それ以上に右打者に対するチェンジアップの精度の高さが際立っていますね。打者有利のカウントでこれを決めることによって、自らの投球を楽にしていることも多いです。
 日本球界で右腕のチェンジアップはシュート回転して打者に当たりやすいため、使うのは左打者にかたより、代わりに右打者にはフォークボールを使う傾向にあります。左腕でも左打者にこの球種を投げるのは杉内俊哉投手(ソフトバンク)内海哲也投手(巨人)らに限られるほど制球が難しいのです。
 チームメートで同じ右腕の涌井秀章投手も、岸投手のようにはチェンジアップを使いこなせていません。いかに岸のチェンジアップが希少価値かが分かるというものです。岸と言えばカーブ、と思っていると特に右打者は痛い目に遭うのではないでしょうか。

diary2010/06/30

パの強さの裏側

 交流戦はパ・リーグが6位まで独占し、セ・リーグを圧倒しました。2連戦で日程にゆとりがあって、絶対的なエースを確立できているパ・リーグの強みは確かにあります。しかし、それだけではないと感じました。その一つに先発投手の打撃の良さが挙げられると思います。
 涌井秀章投手(西武)やダルビッシュ有投手(日本ハム)、田中将大投手(楽天)らをはじめ、パの投手は打撃に前向きでした。リーグ戦では打席に立たないだけに、ここぞとばかりに楽しんでいるようにも見えました。
 セ・リーグでは好機は別にして、投手は積極的に打ちにいかないのが不文律です。私はかねてこの風潮に疑問を抱いていました。投手が出塁すれば大量点につながるケースも多く、9番打者の役割は戦術的に重要と思っているからです。
 投手が走者に出ると投球に影響が出るという考え方もありますが、ドーム球場も多くなっていますし、そこまで神経質になる必要はないと思います。何よりファンにとっては、投手が無気力に打席を消化していく姿を見せられるのは退屈なことでしょう。
 総じてパ・リーグの投手は二死走者なしからでも、いい意味で場の空気を読まずに安打を狙っています。そして逆にセ・リーグの投手が打席にいるときも1人の打者としてとらえ、慎重に投げています。これが野球の当たり前の姿なのですが、こんな小さなことの積み重ねもパ・リーグの強さの裏側にあったと思います。

diary2010/06/23

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