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DIARY

大舞台の怖さ

 今年も昨年に続いてワールドシリーズにNHK解説の仕事で行ってきました。言うまでもなく世界最高の舞台です。私はそこであらためて大舞台が捕手の配球を狂わせる怖さというものを見せられました。
 第1戦の六回、1点を追うヤンキースの守りでした。打席にはフィリーズの3番に入っていた左打者アットリーです。前の打席で先制本塁打を浴びていました。この打席はカウント2―0と追い込んで、捕手のポサダは左腕サバシアに内角高めへストレートを要求しました。セオリーなら外角のスライダーか、チェンジアップで、ここはかなり強引な配球でした。
 3球目はファウルになりましたが、アットリーは物の見事に引っ張っていました。この配球が危ないことは誰の目にも明らかでした。しかし、ポサダは次の球も内角高めの直球を求め、サバシアは同じところに投げ切れず逆球の失投になってしまいました。アットリーには2打席連続の一発を浴び、ヤンキースが初戦で完敗する最大の要因になりました。
 そこまでの2打席でアットリーはストライクからボールになる外角のスライダーに全く手を出していませんでした。何か癖でも分かっているような雰囲気でなぜここまで見極められるのか、ポサダは不思議に思っていたことでしょう。
 そこで逆の対角線の攻めに活路を求めたのでしょうが、強引過ぎました。2球続けたのも「前打席の本塁打の借りを返す」と頭に血が上っているように見えましたね。レギュラーシーズンなら、こんな配球もしなかったと思います。世界一を争うその初戦だからこそ、ポサダは我を失ったように私には見えました。

diary2009/11/23

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