ベストゲーム
ソフトバンクの杉内俊哉投手は1―0で迎えた九回、勝利までアウト一つにこぎ着けていました。そして巨人の代打、大道典嘉内野手を追い込み、あと1球のところまで来ていました。ここでリードする的山哲也捕手はスライダーを要求しました。ここまで巨人の右打者たちを苦しめていた球種で、当然の配球と言えました。
スライダーは2球続けました。最初はボールとなってフルカウント。次はファウルでしたが、三塁線に鋭いライナーを飛ばされていました。これで危険を感じない捕手はいません。的山捕手はスライダーとともに右打者に有効だった外角直球に切り替えました。私が捕手でも同じ配球をしていました。
これに対し、杉内投手はスタミナの衰えを感じさせない力のある球を投げ込みました。結果はそれをスタンドに運ばれました。四球でもいいから慎重にいくべきだったという指摘があるかもしれません。でも、ここまでのプロセスを考えていくと、私にはそうは思えません。
杉内投手はこれが144球目でした。しかも一回からずっと1点差で投げてきました。その苦しみもあと1球で報われるところまで来ていました。力投を見てきた的山も勝負を避けられるはずがなかったでしょう。投手の思いをくみ取るかのように、追い込んでからはすべて勝負球を求めていました。そうするしかなかったし、それで良かったと思いました。
この回追いつかれたソフトバンクは結局、12回に逆転サヨナラ負けを喫し、手中にしかけていた勝利を逃しました。勝負の厳しさを感じずにはいられませんでした。ただ、手を尽くした敗戦でもありました。だからこそ、この試合を落としても最後に交流戦優勝というご褒美が待っていたのではないでしょうか。
diary2008/06/29




