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DIARY

交流戦

 交流戦は今年で導入4年目を迎えます。私も1年目の2005年から昨年まで3年間、経験しました。その間、試合数が減るなど、制度も若干変わりました。その点などを踏まえ、交流戦で勝負を分ける点をいくつか挙げてみます。
①捕手の役割の重要性
 私はどうしても捕手目線で野球をみてしまいますが、その捕手の役割はリーグ戦よりもさらに重くなると言えます。従来はホームとビジターでの各3連戦だったのが、昨季から各2連戦に減りました。当然、捕手はそのカードごとに頭を切り換えないといけません。試合数が少なくなったことで、すべてにおいてスピード感が求められるようになりました。
バッテリーの攻め方というものは、相手打者の特徴やその時の調子の良し悪しはもちろん、投手が打席に立つセ・リーグの本拠地での試合か、指名打者制があるパの試合かによっても変わってきます(例えば投手が9番打者に入ると、その前の8番打者に対する攻めが四球でも構わなくなるケースも増えるので、厳しさが全然違ってきます)。さらに特にパの捕手に言えることですが、セの球場でマスクをかぶる時には球場の狭さに合わせた配球に変える必要が出てきます。去年まで狭かった神宮では私が指揮を執っていた西武でもそうだったのですが、パのチームが信じられないぐらいにホームランを打ち込まれるケースがありましたからね。
 以上のように、リーグ戦以上に捕手がサインを出すまでのプロセスに考えるべき要素はありますよね。それらを短時間で自分の中で優先順位をつけながら、ベストの配球をしていかなければなりません。捕手が一度、パニックになると、交流戦では目まぐるしく対戦相手は変わっていくので、抜け出すのは容易なことではありません。雪だるま式に、負の連鎖に飲み込まれる危険性があります。逆に感性を研ぎ澄まし、洞察力やデータの分析力に裏打ちされたひらめきが冴えてくると、最後まで波に乗って投手を引っ張ることも可能だと思います。こう考えると、交流戦の1カ月間というのはクライマックスシリーズや日本シリーズのポストシーズンと似たようなところがあるので、短期決戦への対応能力が高い捕手を抱えるチームは強いですよね。
②絶対的エースの存在
2連戦になって、交流戦はやや日程に余裕が生まれました。先発投手の駒はリーグ戦に比べると少なくて済み、柱となる投手が投げられる試合は増えました。こうなるとエースの質が物を言ってきます。昨年の日本ハムのように、ダルビッシュという絶対的エースを擁しているチームはより有利に働くと思っています。全体の試合数に対し、エースを使える試合の割合も増えます。しかも2連戦ですからエースで初戦を取ると勢いというプラスアルファも加わり、連勝でそのカードを終えられる可能性は3連戦より高いです。再び、同一カードが巡ってきても、また前回の連勝のいいイメージを持って戦えます。そんな風に勢いに弾みがつきやすい条件はリーグ戦より多くそろっているのです(その逆として一度リズムを崩すと、立て直すのに苦労しますね)。
5、6人の質の高い先発をバランス良くそろえることより、誰と投げ合っても勝てる投手がいるチームがいるか。また交流戦中にそこまで調子を上げてくる投手が出てくるかどうか。ただでさえデータが少ない相手と戦う中では投手が有利な傾向になると思いますので、絶対的エースの存在の有無が交流戦を勝ち抜く上で、非常に大きなポイントになってくると思っています。
③スコアラーの動員力
3年間交流戦が実施され、現場にはある種の免疫はついてきたと思います。全く未知の相手と戦うというイメージは薄れつつあります。最初の頃はパの選手が人気で上回っていたセの球団を相手に燃えていた部分もあったかもしれませんが、今はそれも感じられません(個々での因縁のようなものはあるかもしれませんが…)。戦う前の構えとしてはリーグ戦となんら変わらなくなった部分はあると思いますが、やはり情報量は圧倒的に同一リーグの球団との対戦より少ないと思います。
だからこそ、スコアラーの存在が重要になってきます。どれだけ事前に情報を集められるか、ということです。弱点だったコースを打てるようになっている打者がいたりと、同じ選手でも昨年と同じと思っていると痛い目に遭います。故障を抱えながらプレーしている選手の状態が分かれば、弱みを突くことが可能です。調整具合を細やかに観察していけば、予想外の先発投手を的中させることもできます。グラウンドでプレーしている時以外でも選手の動きをどう把握し、実戦に生かしていくか。そこはスコアラーの動員力にかかっているでしょう。
中日のようにパ・リーグ球団相手にも担当制を敷いてスコアラーを置くなど、スコアラーの仕事に価値を認め、人数やお金をかけることができるチームが有利であることは言うまでもありませんね。ユニホームを着ている現場だけの力だけではなく、球団としての底力も問われるのが交流戦だと思いますね。
④外野の守備力
 最後に強いて挙げるなら、外野手の守備力ですかね。今、両リーグで外野陣の顔触れを比べても見ると、パの方が守備力は高いですよ。これは球場の広さが関係していると思います。今年から神宮は広くなりましたが、まだ全体的にパの球場の方が広いですよね。守備範囲や肩の強さ、守備に関してはパの選手の方が求められるレベルは当然、高くなっています。パの外野手は総じて身体能力が高く、狭いセの球場に行っても十分に対応できています。
しかし、セの選手がパの本拠地でプレーする時はどうでしょうか。外野を抜かれた時、より深く打球を追わなければならないし、中継までの送球も長くなります。守備力の優劣はよりはっきりと出てきます。
 守備に不安があるチームは接戦になると、それが命取りになりかねません。時には打撃力より守備力を優先した布陣を敷く必要が出てくるケースもあると思います。逆にパのチームはセの狭い球場で戦う時は多少、守備力落としてでも打力がある選手を使い、指名打者制が使えない部分を補うこともできます。首脳陣にしてみれば、外野の守備力を常に頭に入れながら球場だけではなく試合展開にも応じ、メンバーを入れ替えていくきめ細かい作戦が求められてくるのではないでしょうか。

diary2008/05/22

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